中国の社会保険制度の概要

中国の社会保険制度は長きにわたり地方政府による独自の執行・運用とされてきたため、保険料率や納付基数、加入する保険の種類などが地方によって異なり、転職すると以前に加入していた社会保険を新しい地域に移転できないという問題がありました。これは人材の流動化を妨げる一つの要因ともなっていました。2011年7月1日、中国で国レベルの社会保険法が法律として施行されたことでこういった問題を解決する期待がされていますが、同時に外国人(日本人)にも加入義務が生じることになりました。

●養老保険
日本の年金制度に相当。定められた料率に基づいて労使双方が負担。原則として、法定退職年齢に達して、かつ、納付期間が満15年に達したときに養老金の受給が可能となる。法定退職年齢は一般のケースで男性は満60歳、女性は満50歳。

●医療保険
日本の健康保険制度に相当。定められた料率に基づいて労使双方が負担。個人口座と共済基金に分かれ、軽い病気、病院での軽微な診療は個人口座の残高と自己負担でまかない、入院など重病の場合には共済基金から保障を受けることが可能。

●生育保険
雇用主のみが負担。90日の法定産休期間中に発生する検査、出産費用にあてるために生育保険給付として生育医療費用と生育手当を受け取れる。

●工傷保険
日本の労災保険制度に相当。雇用者のみが負担。業務上の事由または通勤災害による労働者の負傷、疾病、障害、または死亡に対して保険給付が行われる。

●失業保険
日本の失業保険制度に相当。労使双方が負担。雇用主と労働者が失業保険の負担を満1年間行い、かつ、本人の意思によらずして就業が中断し、失業登記をして求職意思がある場合に保険金を受給することが可能。

現地で中国人を採用した場合にはこれらの保険に加入させる必要がある。