中国で人間関係で揉めたとき契約書だけがあなたの味方

「中国はコネ。契約書を作っても意味がない。政府の役人を知っているから任せない」こんなことを耳にしたことはないですか? 人間関係はもちろん大事ですが、人間関係が機能しなくなっても、契約書だけはあなたを裏切りません。法律を知って自分で自分を守る。中国ビジネスの成功はその後に訪れます。

●契約書は誰のために作成するのか?
日本の契約書には『定めのない事項は双方が協議をして解決する』とあります。しかし、契約書に定めがないと相手方に一方的な解釈を許してしまう余地を与えるのでとても危険です。中国は人治の国(人間関係のグワンシが物をいう)と言われながらも法律の施行にとても厳しい側面もあります。例えば、中国で営業活動をするには法人でなければならず、営業許可が全てにおいて求められます。製造物責任法(PL法)は日本のものより詳細です。中国パートナーは権利意識を強くもって契約書に不備があれば躊躇なく主張してきます。契約書は相手へのけん制だけでなく、双方の意気込みと真剣さが反映されるのです。中途半端な契約書は中途半端な結果しか生みません!

●中国に三権分立制度は存在するのか
もうひとつの注意点として裁判の問題があります。中国では中国共産党による事実上の一党独裁体制が敷かれています。立法機関として日本の国会に相当する全国人民代表大会が置かれ、行政機関として日本の内閣に相当する国務院が、司法機関として人民法院が存在します。しかし、全国人民代表大会に権限が集中しているため、三権分立のチェック&バランスが機能しにくいのは実情です。さらには、地方行政の裁量権が大きいために中央政府との一貫性がありません。契約書に紛争解決の手段を定めるときは、裁判ではなく仲裁を規定することをお勧めします。例えば、中国国際貿易促進委員会という非政府組織の経済貿易団体があります。1952年に設立されたCCPITの本部は北京にあり、7万社以上の会員を持ちます。この団体の目的は中国が世界各国との対外貿易、外国企業誘致、技術導入の促進を図るとされていて、国際商事の仲裁を取り扱う機関でもあります。仲裁条項を契約書に盛り込むときは大変重要な役割を果たすので覚えておきましょう。