中国で模倣品と海賊版を取り締まる方法

中国での民事訴訟の証拠資料は当事者が集めなければなりませんが、海賊品店の摘発だけではトカゲのしっぽ切り、根本的な問題解決になりません。確実なのは製造元を探り出して根絶するしかありません。しかし、自力で調査するのは危険なので二つの方法を紹介します。一つは、調査会社を使う方法です。ただし、調査会社には専門分野、得意分野があるので依頼するときは確認します。過去の調査実績、調査結果、費用、日数、手法、報告回数などです。中でも、真贋の判断をどのように行うのかを調査会社と入念に打ち合わせします。もう一つは、中国事情に詳しい専門家事務所に依頼すること。信頼できる事務所は緊密な調査会社を抱えているので安心できます。調査会社に比べるとコスト高になりますが渋ったために多額の損失を抱えては本末転倒です!

模倣品を発見したときの反撃ポイントは:

●まずは証拠品の確認と確保から
海賊版、模倣品を発見したときは、慌てずにそのモノの確認からはじめます。驚きとショックで気が動転するかもしれませんがまずは落ち着いてください。複数の人間がチェックし間違いないことがわかれば、そのモノを購入します。重要なことは、かならず正規の領収書をもらうことです。事業者が不正販売だと、その場で正規の領収書(中国の領収書は税務当局が発行する「発票」しか認められていません)をくれる可能性は低いのですが、その後の民事訴訟裁判では重要な証拠書類となります。これは、訴状に相手方の正式名称、本店住所、代表者などの事項を記入しなければいけないからです。現地の工商行政管理局で工商登記簿を閲覧すれば、会社名、住所、代表者名、資本金、営業範囲、出資者名などがすぐに分かります(一部の地方では人民法院の通知書がないと閲覧できない場合があります)。

●民事訴訟か?刑事訴訟か?
著作権侵害行為に対する行政管轄機関は版権局です。工商行政管理局、文化部、税関も一定の行政管轄機能を持っています。要約すると下記のとおりです:

【版権局】・・・国家版権局と地方版権局に分かれ、一般的には地方局に申し出ます。日本の著作権権利者の権利が侵害された事件についてもこの機関に行政処分を求めることができます。根拠法には、著作権法、ソフトウェア保護条例などがあります。

【工商行政管理局】・・・総合的な経済管理機関であり、主に企業の設立管理、市場管理、商標登録管理、広告管理、経済契約管理などの任務を負っています。

【文化部】・・・音像製品管理条例に基づき、各種テープ類、レコード、CD、録画製品の販売、賃貸、輸入管理を行っています。侵害行為に対して、営業許可とライセンスの取り消し処分を行います。

【税関】・・・海関保護条例に基づき、著作権を侵害した貨物の輸出入を管理します。行政処分には違法貨物の没収があります。

●海賊版商品に対する対策ポイント

1. 落ち着いて商品を確認し、証拠品を正規に手に入れる。

2. 民事訴訟と刑事訴訟のどちらを選択するかを吟味する。

3. 適切な管轄部署に申し出る。