日中租税条約の短期滞在者183日ルール

日中租税条約第15条2項(給与所得)には、役務が提供された国地域で課税されるとしても、短期滞在者(出張者)については一定の条件を満たすことでその課税をしないという規定があります。下記の括弧()は日本人が中国で勤務するケースでの注釈です。一方の締約国(日本)の居住者が他方の締約国内(中国)において行う勤務労働に対して獲得する報酬は、次に掲げる条件をすべて満たすことで当該一方の締約国(日本)においてのみ租税を課することができる。

●報酬の受領者が当該年(1月から12月)を通じて合計183日を超えない期間、当該他方の締約国内(中国内)に滞在すること → 暦年で183日を超えて中国に滞在しないことなので、例えば、9月から翌年4月までの滞在であれば暦年で183日を超えない

●報酬が当該他方の締約国内(中国)の居住者でない雇用者、またはこれに代わる者から支われるものであること → 中国の企業等の団体からの支払ではない

●報酬が雇用者の当該他方の締約国内(中国内)に有する恒久的施設、または固定的施設によって負担されるものでないこと → 恒久的施設とはいわゆるPEを意味します(PEの詳細はこちら)。

上記の日数計算で、納税義務の判定には出入国日をそれぞれ1日として計算。税額計算では出入国日をそれぞれ0.5日として計算します。
『183日ルール』が適用される日本の居住者には中国の個人所得税が課されません。それ以外では中国での勤務日数と対価に応じて課税されます。本人が日本の居住者でなくなった場合、または高級管理職であるときは『183ルール』の適用がありません。