海外赴任、駐在についてのビジネス情報。

中国、香港、アセアン、北米を中心にお知らせします。

海外へ赴任(駐在)するにあたっての日本での社会保険手続き

日本国内の厚生年金保険適用事業所(日本企業)で雇用関係が継続したまま海外勤務する場合、出向元から給与の一部(全部)が支払われているときは、原則、健康保険・厚生年金保険の加入は継続します。 その場合の報酬の基本的な考え方は: 

1.労働対価として経常的かつ実質的に受けるもので、給与明細等に記載があるものは原則、全て「報酬等」になります。

2.海外事業所から支給されている給与等であっても、日本企業の給与規定や出向規定等により、実質的に日本企業から支払われていることが確認できる場合は、その給与等も「報酬等」に算入されます。 

3.日本企業の給与規定や出向規定等に海外勤務者に関する定めがなく、海外事業所における労働対価として直接給与等が支給される場合は、日本企業から支給されているものではないため「報酬等」には含めません。

●在籍出向の場合

 → 日本企業から給与の全額または一部が支払われる

原則として日本の社会保険資格は継続。日本払いがある以上は日本企業との雇用関係が継続されていると見なされます。赴任者の健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の被保険者資格は継続されるので、日本での社会保険料の個人徴収と会社負担が発生します。ただし、負担のベースは日本払い分のみなので日本払いが少なければ負担額も少ない。言い換えると、将来受給できる(厚生)年金の受給額が少なくなる可能性がある。

日本企業と海外事業所の両方から給与等が支給される場合で報酬等に含まれるケースと含まれないケースの解説(日本年金機構からの転載)

 → 赴任先企業から給与の全額が支払われる

日本の社会保険資格の継続は難しい。在籍出向であっても、赴任先から給与の全額が支払われることで日本側負担がなければ、日本企業との雇用関係がないとみなされる可能性がある。つまり、日本の健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の被保険者資格を喪失し赴任者の被扶養者について対策を考えなければならない(例えば、国民年金、国民健康保険への加入)。

●移籍出向の場合

 → 移籍とは、出向元日本企業との雇用関係を終了させて、赴任先現地法人等との雇用関係を発生させること。結果としては前述の「赴任先企業から給与の全額が支払われる」と同じく、日本の健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の被保険者資格を喪失するので、赴任者の被扶養者についての対応が必要になる。

●その他

 → 日本企業から支払われる給与に渡航費用の精算額が含まれている場合、その渡航費用が実費弁償を行ったものであることが確認できれば「報酬等」には含めません。

 → 外貨で給与等を支払う場合、実際に支払われた外貨額を支払日の外国為替換算率で日本円に換算した金額を報酬額とします。


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労災保険の『海外派遣者特別加入制度』について

労災保険は日本で働く労働者が対象なので海外勤務者は対象外となる。つまり、海外事業所での労災事故に日本の労災保険は使えないが、海外勤務者でも労災保険の給付を受けられるようにする特別制度があります。ここでは加入時の注意点についてお知らせします。

●制度の対象者 → 現地採用者、留学生は対象外だが、日本企業から労働者として派遣されていればその人も新たに加入することはできる。


●補償の対象 → 特別加入申請書に記載した業務内容のみが補償され、海外事業所での事故が業務上の事故であるか否かを判断する基準になるので注意して書く。

●派遣と出張の違い → 海外出張時の労災事故は出張を命じた日本事業所の労災保険で補償されるので特別加入は必要ない。ただし、出張者が現地事業所の指揮命令で動いていた場合には短期間、短期間であっても出張扱いにならない。


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中国で医療行為を受ける場合の注意点

中国の医療水準、医療施設の環境は他のアジア地域と比較すると改善の余地が大いにあります。そこで中国で医療行為を受けるときの注意点です。

●処方された薬は必ず調べる → 中国名以外に英語名も教えてもらい、インターネット等で効果、副作用、適量について確認する。

●点滴を受けるときは使用薬を聞く → アレルギーを持っている人は事前に日本の医師から説明文を書いてもらい、英語、中国語に訳して所持しておく。

●病院の格付けをチェックする → インターネットでその医療機関が所在する行政機関が公表している『行政処罰状況一覧表』を確認する。一覧表には、医師資格のない者を勤務させていた、無許可の薬剤を処方していた、誇大広告を行っていた等で行政罰・指導を受けた医療機関が公表されている。

 中国では病院の総合医療レベルに応じて衛生局がランク付けをしています:三級から一級、甲等から乙等などの3級10等制。一、二、三の三等級を基本とし、一、二級は甲、乙、丙の三等に分かれ、三級は特、甲、乙、丙の四等に分かれています。最高ランクは「三級特等」で通称「三特医院」という。

●持病があるときは、英文、中国語の診断書(トラベルカルテ)を事前に用意する → 日本語が通じるところはまれであり、英語が通じるところも少ないが、「国際標準英文診断書」(必要に応じてCT、MRI、手術図などを添付した国際標準の書類)を作成して持参することが賢明。

 ・慢性疾患のため薬を服用中
 ・心臓病、高血圧、糖尿病、高脂血症などがある
 ・糖尿病、喘息、ペースメーカー、人工弁、重症アレルギーがある
 ・過去5年以内に大きな手術を受けた 
 ・骨折などの手術で体内にボルトなど金属を埋め込んでいる  など。

●中医(漢方医)と西洋医の違い → 中医は中国で行われている伝統医学の一種として西洋医と比較されます。診療は中医師が行います(日本では中医師の医療行為は認められていません)。西洋医には西医学部を卒業後に中医学研修を受け、西洋医学も中医学にも精通する「中西医結合」治療を行う医師がいます。診察や処方のときに「西洋医学の薬にしますか、中薬にしますか」などと聞かれることがあります。中医は、中医内科、中医外科、中医婦人科、中医小児科などに細分化されるが二つに集約される:

 ・生薬処方を湯液治療で専門とする中医師(生薬とはそのまま又は一部の植物・動物・鉱物の天産物あるいは動植物のエキス・分泌物などを乾燥、簡単に加工して薬用するもの)
 ・針灸按摩治療を中心とする中医師


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海外赴任規程(駐在員規程)を作成するときの基本事項

駐在員の給与体系と処遇をまとめた海外勤務規程は、赴任するまでに早急に整備するのが大原則です。

本人と会社の不安、トラブルを払拭することは言うまでもありません。しかしそれ以上に、規程がない状態で赴任が続くと既得権が発生してしまい、後に規程を整備する際の障害になることがあるのです。不利な労働条件への変更禁止、深く考えず支給していた海外手当・福利厚生の既得権が会社の負担として重くのしかかります。海外出張旅費規程で対応しているケースもありますが、出張と駐在ではそもそも事情と業務の性格、適用する法律も異なるので適切ではありません。

海外赴任規程で一般的に整備する項目:
 目的
 用語の定義
 就業期間
 社会保険料等
 給与賞与体系
 各種手当・税金の取り扱い
 為替レート
 赴任帰任時の旅費手当
 残留家族の処遇
 赴任帰任休暇
 帰国休暇
 有給休暇
 特別休暇
 日当・出張旅費
 旅費の精算
 住居
 子女教育費
 保険
 医療費
 予防接種
 健康診断
 運転
 規程外事項


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